私の教室に来て3年、小学校3年の恵ちゃん。
身体が小さくてとてもかわいらしい女の子です。

めぐちゃん自身は、この3年間でかなり色んな事が出来るようになり、大きく成長したものの、同学年の生徒の中に入れて聞くと、まだまだ線が細く、指さばきもおぼつかない感じは否めません。

でも第2子特有の負けず嫌いの性格を持っていて、競争心も高く、うまくいかない時は悔しくて涙が出ます。

ある日のレッスンの事、何度やっても出来ない部分がありました。

何回トライしても出来ず、最後にはそこよりも前のもともと弾けていた部分まで弾けなくなってしまう、という事態に陥りました。
もちろん本人は号泣し始め、しばし休憩を余儀なくされました。

その時にお母さんが「結構毎日頑張って練習しているんですけど、全然できるようにならないんです」とため息まじりに話されました。

その言葉に対して、私が

「そうよね~。あのね、一生懸命頑張っている時は効果が出ないんよ」

と言ったので、めぐちゃんもめぐママもびっくりして私を見ました。

あまりの勢いで見返されたので、私の方もびっくりしたのですが、

「そう思わない?身体の反応ってちょっと後から来ると思わない?ものすごく忙しい時期には身体はなんとか持っているけど、忙しい時期が過ぎて数日してから、ど~~~んと疲れが出たりしない?
気持ちは現在進行形だけど、身体って反応はいつも後じゃないかなぁ。
今一生懸命頑張っている事は、もう少し後に効果が出るんだよ。だからあきらめずに楽しみにして頑張ってね!」

と言いました。

それを聞いてめぐちゃんは急に笑顔になり、お母さんも「そうなんですね~~」と気が軽くなったような顔になりました。

これは私が娘たちとピアノをやっている頃に、たまたま読んだ記事に書いてあったことです。

私自身も、娘たちに対して、何回やっても出来るようにならない、どうしたら出来るようになるんだろう、と頭を抱えていました。

すでに頑張っている彼女たちに、これ以上「もっと頑張れ!」と言わなければいけないのか、とも悩んでいました。これだけやってダメなのは、能力がないのではないか、とも・・・・。

だから、私自身この記事を読んで本当に救われたのです。
娘たちの成果をもう少し待とう、という気持ちになれました。

「だからね、ちょっと早めに練習を始めておかないと、『効果が出る前に本番を迎えちゃう』ってことになるかもしれないから、気をつけてね!人によって効果の出方も時期も違うから、まず今回の練習の成果がいつ現れたか、よ~く観察しててね!」

「わかった!」

恵母「少しでも変わってきたら成果ですよね?」
「もちろんです!」
「いつ来るかね!?明日かなぁ・・・」

めぐちゃんの機嫌が上向いたところで、もう一度仕切り直しで、ずっとひっかかっていた鬼門の部分を練習する事にしました。

「あ、うまくなってる!」
恵母「そんなにすぐには出来んよ」
「でもさっきよりうまい!」

「この一週間頑張って練習したから、その成果が出始めているのかもしれないね。もっと上手に弾きたい?」
「うん、もっともっと上手に弾きたい!」

「じゃぁ、諦めずに今週も練習を続けてみてね!来週はもっと良くなってるよ!」
「はい!」

頑張って練習している時は、その成果を今か今かと期待するし、どれだけやっても兆候が見られなければ自分の力に失望もします。ダイエットも同じ。

身体の中で化学反応(好転反応)が起きるまでもうちょっとだけ待ってみよう、もうちょっとだけ努力を続けてみようと思うだけで、気持ちも身体も軽くなります。

頑張り屋さんのめぐちゃん。
めぐちゃんのペースで、一つ一つ出来ることが増えて、輝きが増していくことをずっと信じて待っていたいと思います。