ピアノ教室のあるある話
ピアノ歴8年の中学一年生誠君。
とても音楽的な生徒で表情も豊か、コンクールでも数々の成績を得てきました。
昨年1年間は中学受験のためにコンクールはお休みしましたが、レッスンには休まず通いました。
基本的にコツコツ練習は嫌いですが、音楽が好きで、歌があり、天真爛漫な賢い生徒です。
保存
保存
保存
保存
コンクールの課題曲が出て、数週間がたったある日、誠母から私の自宅に電話がありました。
電話を取るなり、誠母の嬉しそうな弾んだ声が飛び込んできました。
誠母「先生、課題曲を聴いてみたんですけど、この曲素敵ですよね~~!誠に弾かせたいです!」
私「そう!それはよかった!誠君も気に入ってるの?」
誠母「いえ、私が・・・。誠はまだ聞いていません」
私「(笑) そうなんだね。今年はリハビリも兼ねて、ちょっとだけコンクールに出るっていうことだったから、あまり欲張らずに本人に聞いてみてからの方がいいね!」
誠母「誠はコンクールというだけでちょっと敬遠してるんですけど、私がすっかり気に入って!誠にこんな曲、弾いてほしいなぁ~って思ったら、弾いてる姿が頭に浮かんできたんです!」
眼には星をちりばめ、興奮した様子が、彼女の声からも伝わってきました。その無邪気な様子がかわいらしく、可笑しくなりました。
お母さんには誠君が、ステージでこの曲を素敵に弾いているイメージがはっきりと見えたんですね!
私「じゃぁ、上手に本人に言って、その気にさせてみたら?ただしあまり無理のないようにやってみてね」
とアドバイスしました。
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
あれから1カ月。
ふと気がつけば2つのコンクールを受けることになっていた誠君(笑)。
いつの間にか本人の中の、嫌だな、とか出来るかな、と思う気持ちよりも、面白そうだな、やってみようかな、という気持ちが逆転していたから不思議。
まさに夢子マジックです!
その頃誠母は、どこで予選を受けるか、について悩んでいました。
予選はいくつかの日程から選ぶようになっており、会場によって大きく運不運が分かれることも確かです。
保存
誠母「先生、ここの予選は毎年うまい人が受けるんですよ。この人たちがこの本選に上がってくるんです」
どこで予選を受けるかでさらに本選会場も変わってきます。私はその研究熱心な事に感心して
私「へ~~、よく調べたね!」
と言いました。
誠母「この本選会場は響きもいいし、誠も好きな会場なんですけど、この人とこの人が来そうなんです」
私「いやいや、まずは予選を通過してからじゃない?(汗)」
誠母「そうなんですけど、全国大会にいけるのは各本選でたった一人じゃないですか!そうしたら少しでも確率の高いところを受けたいな、と思っていて・・」
私「え、全国大会???・・・・」
保存
保存
夢子の素晴らしいところは、必ず全国大会までイメージしているところです。
そしてそのためにはどの方法が一番いいかを一生懸命考えています。
そんな私たちの作戦会議を、他人事のように聞いていた誠君でしたが、誠君にも会場に対するイメージがあるようで、「この会場、前弾いたところだよね?僕、この会場好きだった」とか、「ここで賞をとったことがある」とか「ここはあまり行きたくない」とか自分の意見を言い始めて、あれよあれよと言う間に予選日程が決まっていきました。
そこで、ふと気づいた私。
お母さんは夢子ぐらいおめでたいくらいがちょうどいい!
あれほどコンクールに逃げ腰だった誠君まで、すっかり今では前向きに考えて、自分の好きな会場で演奏している姿までイメージしている(驚)。
これも夢子マジック!
しかもこのお母さん、ただ自分の夢を子供に押しつけているわけではありません。
子どもに大きく期待をしながら、自分も一生懸命調べて行動を起こし、子どもと二人三脚で頑張ろう!と思っているのです。
だから彼は、これまでも数々のコンクールで全国大会に出て、入賞をして、数々の奇跡を起こしてきたのか、と納得しました。
彼の才能ももちろんありますが、傍でいつも目を輝かせている夢子の存在は大きい!
保存
保存
保存
保存
もし、誠母がネガティブタイプの謙遜母だったら・・・・
私「誠君うまくなったね~!今年はもっと上を目指していけるといいね!」
謙遜母「無理です無理です!誠がそんな予選通過なんかするわけないじゃないですか!」
私「え?そんなことないよ。うんと上手になってるよ!」
謙遜母「いえ、そんな大それたこと考えていませんから!先生、あんまり期待させないでくださいよ。ダメだったときのショックが大きいですから」
私「そうなの?ダメでも上手くなった事が一番の結果だよ!」
謙遜母(いえいえと手を振って会話を打ち切る)
そしてその会話をそばで聞いている誠君も「まぁダメでもいいか・・・」と考える。
また、ただ期待ばかりしてスパルタ式の軍曹母だったら・・・・
私「誠君うまくなったね~!今年はもっと上を目指していけるといいね!」
軍曹母「やればできると思うんですけど、なかなかやってくれないんです」
私「え?そんなことないよ。うんと上手になってるよ!」
軍曹母「いえ、足らないですよ。先生、あんまり甘やかさないでくださいよ。こんなもんでいいか、と簡単に考えてるんです」
私「そうなの?少しずつでも上手くなった事が一番の結果だよ!」
軍曹母(いえいえと手を振って会話を打ち切る)
そしてその会話をそばで聞いている誠君も「あれじゃダメなのか・・・」と考える。
謙遜しすぎるお母さんと期待が大きすぎるお母さん、そしていつも夢見るおめでたい夢子。
母としてはどの気持ちもすごくよくわかるけど・・・
誠君には夢子が良かったみたいです。
二人はとてもバランスよく、ポジティブに夢をどんどん叶えています。
お母さんのことが大好きな誠君は、自分の大好きな人から大きく期待され、その期待にこたえようと努力し、お母さんも成功イメージを常に持って、前向きに協力して応援する。
私も心の底から協力したい、という気持ちになります。
保存
保存
保存
たとえ誠母がイメージしたような結果がもらえなくても、誠君には自分の可能性に賭けて、一緒に夢を見てくれるお母さんの存在はすごく大きいはず。
こんな強力な助っ人がそばにいたら、心強いこと間違いなし。
やっぱり「夢見る夢子が奇跡を起こす」のです。
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存
保存